副業解禁という空気に、経営者が思考停止する瞬間
中小企業の経営者が副業解禁を語り出す場面に出会うと、少し立ち止まって考えたくなることがあります。副業解禁は、時代の流れでもなければ、それ自体が良い悪いの話でもありません。体力があり、自社の魅力や立ち位置を理解したうえで選ぶ、ひとつの戦略にすぎません。
大企業が副業を認めやすいのは理由があります。外に出れば、賃金や待遇が安定しない現実に触れ、自社の環境を相対的に理解できる。結果として、副業が自社の立ち位置を知る機会として機能することもあります。
一方で中小企業の場合、外の方が条件が良いと分かった瞬間、そのまま戻らないケースも少なくありません。戻ってきたとしても、以前とは違う期待や要求を抱えていることもあります。
それでも副業解禁という言葉が魅力的に映るのは、マスコミや大企業が描く進んでいる会社像が、正解のように見えてしまうからかもしれません。これまで会社を支えてきた現場の感覚よりも、そうした空気の方が正しく思えてしまう場面は、誰にでも起こり得ます。
副業解禁は福利厚生ではありません。人が外に出ていく可能性を含めて引き受けられるかどうか、という経営判断であり、その前提を欠いたまま形だけをなぞると、流れに身を任せている状態に近くなります。



