越境M&Aで見落としがちな最低賃金リスク(2)
今回の最低賃金改定では、発効日が県ごとに大きく異なるため、賃金台帳だけを確認してもリスクが把握できないケースがあります。
多くの企業は「月末締め、翌月払い」で給与を支払っています。
そのため、DDで確認できる賃金台帳は10月や11月分が中心になりますが、これは旧最低賃金で作成されています。
例えば12月発効の県(山梨、岡山、愛媛、高知、長崎、沖縄)では、
・DD時点では旧賃金のまま
・買収後に発効日を迎えて急に賃上げが必要
という状況が生じます。これはDDで把握しにくい“時点リスク”であり、今年度特有ではなく、今後も一定程度起こり得ます。
さらに、人件費の増加が経営に与える影響も無視できません。
●黒字予定が買収後に赤字へ転落するケースも
例えばパート100人が月100時間働き、時給を80円上げる必要がある場合、月80万円、年間960万円の追加負担となります。
パート比率の高い業態では、これだけで黒字が消える可能性もあります。
次回は、こうした「見えない負担」がPMIや企業価値評価にどう影響するかを整理します。



