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退職金制度は、変えてはいけないものなのか

退職金制度の話をしていると、多くの人がそれを絶対的なものとして捉えていると感じます。つまり、違ってはいけないと考えてしまうようです。全員あるか、全員ないか。

「退職金がある正社員と、退職金がない正社員、どちらもいていいのですよ」というと驚かれることがあります。その反応のほうに、私はむしろ驚くことがあります。というのも、同じ会社の中でも、雇用形態や役割、処遇の内容はさまざまです。つまり会社はすでに、条件の違いを前提に組織を運営しているからです。

制度を世代ごとに変えるという方法もあります。かつては定年まで働くことが一般的で、金利も高い時代でした。長期の積立と複利運用を前提とした退職金制度は、少ない元手で大きな金額を用意できる、その時代には合理的な制度だったと言えるでしょう。

しかし、現在の金利環境や働き方は当時とは大きく異なります。ですから、これまでの退職金制度は現在在籍している従業員のみに適用しつつ、これから入社する人については、退職金ではなく給与や手当として配分するという設計も十分に考えられるはずです。

就業規則には、今後入社する人への約束という側面もあります。しかし、まだ求人を出しておらず、内定者もいないような状況であれば、この規則は現在在籍している従業員に限り適用するものと区切り、これから入社する人に向けては新しい規則を作るという考え方もあり得ます。

人事制度は法律で固定されているものではありません。会社が何を重視し、どのような組織を作りたいのか。その考え方に合わせて設計されるものです。退職金制度もまた、その一つなのだと思います。