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食をオフィスに置くことが、労務リスクの低減につながる理由

福利厚生としての食は、健康や満足度の話として語られがちですが、実務の視点で見ると、オフィスに食があることは、労務リスクや生産性に直接関係する施策でもあります。

たとえば、オフィスが複数フロアに分かれている場合、食をどちらか一方に置くだけで、人の往来が自然に生まれます。意図的に交流を促さなくても、フロアや部署をまたいだ接点が生じる。これは制度設計や管理を伴わない、非常に効率的なコミュニケーションの生み方です。

昼休憩の場面を考えてみます。コンビニへ行く移動時間やレジ待ち時間がなくなることで、休憩時間の質が上がります。時間そのものは増えていなくても、休める時間が実質的に長くなり、午後の集中力や能率が落ちにくくなります。これは健康論ではなく、生産性の話です。

オフィスではなく、工場などでは、同じ昼休憩の時間帯に、社員が一斉に車で外出するケースも少なくありません。このとき、駐車場内での接触事故やヒヤリハットのリスクが必然的に高まります。敷地内で食事が完結すれば、そもそも車を動かさない人が増え、事故リスクそのものが下がります。

夜間も同様です。残業中に夜食を買いに外出する行為は、その移動時間が、業務との関連性次第では残業時間として評価され、結果として残業代の対象となりえます。オフィス内で食の確保が完結すれば、不要な残業時間を減らすことにつながります。

食をオフィスに置くことは、健康施策というより、生産性を上げ、労務リスクを下げる環境設計と捉える方が実務的です。管理を増やさず、ルールを課さず、それでも会社にとって合理的。食の話をしているようで、実は労務の話をしている。しかも、追加コストや管理負担を最小限に抑えた、経営合理性の高い施策です。