2026年からの展望 「増やす」から「守る」へ
「働き方改革」という言葉は、いまや少し古く聞こえるかもしれません。しかし、その流れ自体が終わったわけではありません。むしろ2026年は、これまでの延長線上で、実質的に次の段階へ移る年だと感じています。
これまでの政策の重心は、長時間労働を是正し、女性や高年齢者を含めて就業人口を「増やす」ことにありました。実際、「働き方改革」が本格化する前、労働力人口は6500万人台にとどまっていましたが、現在は7000万人規模に達しています。この点では、一定の成果があったと言えるでしょう。
いま進んでいるのは、その増えた就業者を前提にした制度改正です。行政等で言われる「多様な働き方への制度改正」とは、働き方をさらに増やすというよりも、すでに多様化した働き方を前提として、事故や不利益、摩擦からどう守るかという考え方に基づくものです。
2026年4月施行の高年齢労働者の労働災害防止措置(努力義務)や治療と就業の両立促進措置(努力義務)、同年10月施行のカスタマーハラスメント・就活ハラスメントへの対策義務化は、そうした流れを端的に示す例と言えるでしょう。
労働基準法の大改正が、2026年通常国会への提出を見送られたのも、後退ではなく、「増やす→守る→任せる」という順番を崩せなかった結果だと思います。守る仕組みが十分に整わないまま「任せる」に進めば、その負担の所在が個人側に偏りかねません。
2026年は、人事がこれまで工夫を重ねてきた制度運用を土台に、どこまでを守り、どこからを任せるのかを自社の考えとして説明できるかどうかが問われる年になるはずです。



