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IPO時に注意すべき「36協定の上限時間」と「割増賃金」の関係

 

36協定を締結しないまま法定時間外労働(以下「残業」といいます。)をさせたならば、それは違法残業ということになります。36協定を締結したとしても、月45時間を超えて残業をさせたならば、それも違法残業ということになります。

それならばと、特別条項付36協定を締結したとしても、月45時間を超えて残業をさせられるのは、年間(36協定の1年間の有効期間)6回までです。年間7回以上、月45時間を超えて残業をさせたならば、やはり違法残業ということになります。

IPO審査においては、「違法残業を発生させることのない体制を構築していること」が求められます。つまり、残業時間がどれだけあるかの管理だけではなく、月45時間を超えて残業をさせた回数の管理も必須となるのです。

本年4月から月60時間を超える残業時間に対する割増賃金率が引き上げられ50%になりますが、上記の通り、月45時間を超えて残業をさせられるのは、年間6回までです。

そのため、IPO審査が要求するレベルの体制の構築のためには、まず法定の上限時間内で残業をさせ、その範囲内の残業時間に対し法定の割増賃金を支払う、という順番での二段階での遵守が必須ということになります。いくら割増賃金率を法定通りの50%で支払っていたとしても、法定の上限時間を超える残業(違法残業)が適法になるわけではありません。この点、注意が必要となります。

 

【厚生労働省リーフレットより抜粋】