「前の会社では〇〇でした」と言われたときの考え方
「前の会社では、忌引き休暇は有給でした」
労務相談の現場では、こうした声を耳にすることがあります。経営者としてどう判断すべきか、迷われる場面も少なくありません。
一見もっともらしく聞こえますが、この比較には注意が必要です。労働条件は、個々の制度を切り取って良し悪しを論じるものではなく、常に全体として設計されています。
たとえば、忌引き休暇が無給でも、年次有給休暇が取得でき、日常的にも休みやすい職場であれば負担は小さいと言えるでしょう。反対に、一部の特別休暇が有給であっても、年次有給休暇が使いにくい職場もあります。
前の会社の「良かった点」と、今の会社の「良い点」をつなぎ合わせる発想は、制度の比較としても、経営判断としても成り立ちにくいものです。経営とは、他社の制度を寄せ集めることではなく、自社の形を選び続けることだからです。



