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カスハラには毅然と「脱客」

「毅然と対応」は、その場でできるのか

最近、「カスハラには毅然と対応する」という言葉をよく見かけます。もちろん、その姿勢は大切です。ただ、少し気になります。毅然と対応するとは、具体的に何をするのでしょうか。

これまで接客の現場では「お客様には丁寧に対応してください」と言われてきました。それが「カスハラには毅然と対応してください」に変わる。言葉を置き換えただけでは、現場は困ります。

暴言が続いたら、その場で対応を打ち切ってよいのか。上司に交代してよいのか。退去を求めてよいのか。危険を感じたら警察に連絡してよいのか。こうした対応をマニュアルに定めている会社もあるでしょう。

問題は、実際にカスハラを受けている従業員が、その場で、自分の判断で実行できるかどうかです。いったん我慢して上司に報告し、後日、会社として対応を検討する。それでは、今まさにカスハラを受けている従業員は守れません。本部から現場への「毅然と対応してください」という指示だけが毅然としていても仕方がありません。

いつまで「お客様」なのか

もう一つ気になることがあります。その人を、いつまで「カスタマー(お客様)」として扱うのでしょうか。暴言を繰り返してもカスタマー。従業員を長時間拘束してもカスタマー。人格を否定してもカスタマー。一定の線を越えた相手をいつまでも「ハラスメントをするカスタマー」として扱い続ける必要があるのでしょうか。

そこで、一つ言葉を考えてみました。脱客(だっきゃく)です。

カスハラは相手の行為。一方、脱客は会社の判断。会社が、その相手を通常の顧客として扱うことをやめる判断です。脱客は、出入り禁止や契約解除そのものではありません。具体的な対応は、業種や契約内容によって異なるでしょう。

脱客という言葉があれば、現場からの相談も変わります。「もうこのお客様の対応はしたくありません」ではなく「この件、脱客してよいですか」「現場としては脱客相当と判断しますが、いかがでしょうか」と言える。従業員個人の感情ではなく、会社として顧客関係を続けるかどうかの判断を求めるわけです。

脱客は、安易に顧客との関係を断つための言葉ではありません。会社が決めるべきことを、現場任せにしないための言葉です。また、会社自身が「お客様なのだから仕方がない」という発想から脱却する意味も込めています。

毅然と対応します、で終わるのではなく、毅然と脱客する。現場に毅然とした態度を求めるなら、会社もまた、顧客との関係を続けるかどうかについて毅然と判断する。そこまで考えてこそ、カスハラ対策ではないでしょうか。