人的資本経営は、人を大切にするだけなのか
人的資本経営という言葉を、ここ数年よく聞くようになりました。人をコストではなく資本として考えよう。人に投資すれば、人は成長し、その成果は会社にも返ってくる。つまり、人を将来の価値を生み出す投資対象として考えようという発想です。
ただ、少し気になることがあります。最近は、人を成長させるための投資よりも、人を大切にするための支出として語られる場面が増えているように思うのです。もちろん、人を大切にすることは重要です。賃上げも、福利厚生の充実も否定するつもりはありません。ただ、それらは「人への支出」であって「人的資本への投資」とは少し性質が異なるように思うのです。
設備投資であれば「設備に投資しました!」で終わる会社はありません。生産性は上がったのか。利益は増えたのか。投資は回収できたのか。そこまで考えて初めて投資と言えます。
人的資本への投資も、本来は同じです。能力形成へ投資する。できることが増える。会社が成長する。その成果が、また投資につながる。人的資本経営とは、本来そのような循環を前提とした考え方だったはずです。
では、その投資対象は何でしょうか。どの能力を高めれば会社は強くなるのでしょうか。
投資というなら、その成果まで考える。それを忘れてしまえば、人的資本経営は単なる支出の話になってしまいます。



