解雇問題の多くは採用問題ではないか
採用後1年以内の解雇問題や地位確認の紛争に触れるたびに、私はいつも同じことを考えます。これは労務問題というより、採用問題ではないかということです。
会社からはよく、こんな人だとは思わなかった、入社してみたらひどかった、という説明を聞きます。確かに、現場で問題行動が目立つ社員がいることはあります。
ただ、その人を採用したのは会社です。面接を行い、選考を経て、最終的に門を開けたのも会社自身です。あとから想定と違ったと言っても、それは社員個人の問題というより、採用判断の問題です。
周りの社員も冷静に見ています。あの人はひどいと感じる一方で、なぜ会社はあの人を採用したのだろうと考えています。採用の意思決定は会社が行ったものです。その判断が組織にどういう影響を与えているかも含めて見られています。
問題なのは、採用の結果が現場に押し付けられてしまうことです。採用した側はミスマッチだったで済ませても、実際に影響を受けるのは周囲の社員です。フォローの負担、業務の停滞、組織の空気の悪化。そうしたコストは現場に積み上がっていきます。
もちろん、採用は不確実性の高い活動です。どれだけ面接を重ねても、入社後の働き方や組織との相性まですべて見抜けるわけではありません。ミスマッチが一定程度発生すること自体は避けられない面もあります。
だからこそ重要なのは、想定と違ったときのコストをどう引き受けるかです。採用はうまくいくことだけを前提に設計するものではなく、ミスマッチが起きた場合にどう対応するかまで含めて設計するものです。
採用で門を開いた以上、その結果を社員個人の問題にだけ帰してしまうのは違うのではないか。採用後に起きている問題の多くは、まず採用の問題として捉えるべきではないかと思います。



