なぜ現場は採用に納得しないのか
前回は、意図せず生じてしまうミスマッチについて書きました。今回は少し角度を変えて、ミスマッチをあえて織り込んだ採用について考えてみたいと思います。
気になるのは、採用の前提が現場マネージャーと共有されているのかという点です。会社によっては、母集団確保やスピードを重視し、多少のばらつきは出るという前提で採用を進めていることがあります。言い換えれば、一定のミスマッチが生じることを織り込んだ採用です。
その考え方自体は、経営判断としてあり得るものだと思います。採用の精度を極限まで高めるのか、それとも一定のばらつきを受け入れて採用のスピードや母集団を優先するのか。どちらにも合理性はあります。
ただ、その前提が現場マネージャーと共有されていないと問題が起きます。現場は厳選された人材が入ってくる前提で人を受け入れます。一方で実際には、ミスマッチが一定程度含まれる採用が行われている。このズレが、現場の違和感につながります。
採用後の相談の中で「聞いていた人物像と違う」「なぜこの人を採ったのか」という声が上がるケースは少なくありません。受け入れる側からすれば、その採用判断に疑問を持つのも無理はありません。採用の意思決定の前提が見えていない以上、その判断そのものに不信感が向きます。
こうして、採用の問題は、やがて現場との信頼の問題に変わっていきます。そして一度ここが崩れると、その後の採用判断はすべて疑われるようになります。
もし会社として、一定のミスマッチは採用上避けられないと考えているのであれば、その前提は現場マネージャーとも共有されているべきでしょう。ここでいう共有とは、単に方針を伝えることではありません。どの程度のばらつきを許容するのか、その前提で現場に何を引き受けてほしいのか、育成やフォローはどこまで現場で担うのか。そうした点まで含めて初めて、採用の前提が現場と揃います。
採用は人事だけの問題ではなく、組織全体で引き受ける意思決定でもあるはずです。



