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IPOと営業秘密

顧客リストなどの営業情報、性能データなどの技術情報、研究データなどの開発情報といった営業秘密に関しては、2つのリスクがあります。自社から持ち出されるリスクと、自社に持ち込まれるリスクです。

自社の営業秘密が、他社に不正に持ち出されれば、自社の優位性が揺らぎます。その結果、上場どころではなくなる恐れもあります。

他社の営業秘密が、自社に不正に持ち込まれれば、営業秘密の侵害として被害企業からは民事責任(損害賠償など)、国からは刑事責任(不正競争防止法など)を問われえます。その係争を証券取引所(東証・名証)が知るところとなれば、通常、上場審査は延長され、上場承認は取消となります。上場後の業績にインパクトが生じたり、成長戦略に疑義が生じたりする恐れがあるからです。

他社の営業秘密を持ち込むような人は、自社の営業秘密を持ち出す人にいつ転じてもおかしくありません。入社時の秘密保持契約書に、次のような項目を加え、持ち込まないよう牽制し、意識させておくことも最初の一歩として一考です。

 

■前職の秘密情報■ 私は、第三者が保有するあらゆる秘密情報を、当該第三者の事前の書面による承諾なくして貴社に開示し、又は貴社に使用若しくは出願(以下「使用等」という。)させたり、貴社が使用等するように仕向けたり、貴社が使用等しているとみなされるような行為を貴社にとらせたりしないことを約束いたします。

■第三者に対する守秘義務等の遵守■ 私は、貴社に入社する前に第三者に対して守秘義務又は競業避止義務を負っている場合は、必要な都度その旨を上司に報告し、当該守秘義務及び競業避止義務を守ることを約束いたします。

 

【独立行政法人情報処理機構 企業の内部不正防止体制に関する実態調査報告書(2023年4月)より抜粋】

 

【経済産業省 営業秘密管理指針より抜粋】